まあ1〜2時間の山行であればスニーカーでも大した問題は出ませんし、子供の頃から裸足で野山を駆け巡ってたような足の丈夫な人だったら、高いお金を払って登山靴を買うまでもないでしょう。足袋でも長靴でも好きな物を履けばいいと思います。しかし、普通の足であれば登山靴の方が楽だと思います。これから登山始めたいんだけど靴買った方がいい?と知人に聞かれたとしたら、2時間以上歩く予定ならとりあえずトレッキングシューズ買っとけ、と自分だったら答えます。
自分も最初はスニーカーでした。だけど楽に履きたいがために若干大きめのルーズフィットで、山道の下りなどではつま先とか足裏が痛くなります。足首が覆われないために結構いろんな物が足首をひっかいてそれも痛い思いをしました。まあ、獣道を見つけるとこの先に何があるんだろうと突っ込んで行ってしまう性質なので、薮漕ぎも多かったせいもあるのですが。
これではいかんと次に買ったのは、ミッドカットの登山靴風スニーカーです。でもこれもすぐにぼろが出ます。不整地ではふにゃふにゃ過ぎて数時間歩くと足が痛くなるのです。
そこで次に軽登山靴に手を出しました。さすがに登山靴の名を冠しているだけあって、しっかりした作りで感動物でした。歩きやすさも断然違います。すげーよ登山靴。と思っていたのですが、やがてこれも物足りなくなりました。尖った岩がごろごろ転がっている道や、木の根が露出して平らな箇所が全くないような所を歩いていると、足のアーチの骨が痛くなるのです。山小屋泊りで荷物の重量が重い場合などは、痛みも半端じゃありません。軽登山靴ではソールが柔らか過ぎたのですね。
最終的に今は、軽登山靴のソールが硬いものになっています。3シーズンブーツよりもちょっと軽登山靴寄りの味付けってタイプです。
登山靴と捻挫
足首を捻挫する仕組み
足首を捻挫する時の様子をハイスピードカメラで撮影して検証してみると、捻挫する時には足が着地する瞬間、既に足が曲っているそうです。足の裏で真っ直ぐ着地した時には捻挫は起こらず、足首が曲って足の外側だけとか内側だけで着地した時だけ、足首を捻挫します。
真っ直ぐ着地するということが捻挫しないために重要なのですが、登山道は平らな舗装路とは違います。いつでも足裏全体が地面と平行に接地できるものではありません。踝を境に上下の重心線を真っ直ぐ直線になるように、そして地面の安定部分が重心線の中央になるように足の置き場を選びます。
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ミッドカットとハイカット
登山靴はアプローチシューズとトレイルランニングシューズを除いて全てミッドカットかハイカットになっています。これには泥や砂利が靴の中に入り難いという理由の他に、捻挫をし難いという効果が期待できます。
足首を覆うのは別に可動範囲を狭めて捻挫を防止するためではありません。かなり硬めでも人間の体重には耐えられませんし、体重に耐えられるほどの強度を持たせればスキー靴のようにまともに歩けない代物になってしまいます。それより、踝上下の重心線を直線に保つガイドとなって、真っ直ぐ地面に着地できるということが捻挫予防の観点で重要な役割を果たしています。
山慣れして歩き方が上手い人はスニーカーでも何でも歩きやすさ優先で選べばいいと思いますが、初心者であれば足首をしっかり覆う靴の方が安心です。最初は歩き難く感じるかもしれませんが、できればハイカットで硬性感のある靴を選んだ方が良いと思います。
登山靴の選び方
必ず登山専門店で、実際に履いてみて選びます。なぜ登山専門店かというと、試し履き用の傾斜台を備えているからです。石を敷き詰めた部分や傾斜台を何度も歩いてみないと、不具合がないかわかりません。さらに最低でも30分は履いたまま、店をうろうろしたり傾斜台を登り下りしたりします。ここで当たる箇所や痛む箇所がないかしっかり確かめておかないと、実際の登山で泣くハメになります。どれだけ入念に選んだとしても、実戦では必ずどこか不具合が見つかるものですから、店の試し履きの段階で痛みがあるようではどんなに外見が気に入った靴でも候補から外すしかありません。
完璧に足に合う靴などオーダーメイドする以外には見つけるのは困難です。若干しっくりこないな程度の靴を見つけたら、別売りのインソールを入れてみることも試す価値はあります。インソールにより履き心地が劇的に改善されることもある程です。
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夕方には足がむくんでサイズが若干変化するため、夕方に靴選びをすると良いといいます。靴選びの際には必ず登山で使用する靴下を持って行って下さい。その場で靴と一緒に購入するのでもOKです。店員が相談に乗ってくれるので、行くつもりのある一番長距離の山を告げれば、それにあった靴下や靴を見繕ってもらえるでしょう。ここで見栄を張って剱とか奥穂縦走とか言ったりすると高い物を買わされるので、見栄張りはまったく無意味です。素直に「白馬鑓温泉(はくばやりおんせん)往復、白馬(しろうま)には上がりません。カッコ笑い」と申告して下さい。
サイズの選び方
全体に余裕があるサイズだと足を入れた時は楽ですが、歩いているうちに靴の中で足が動いてしまい、靴擦れを起こす原因になります。また、下りで足が前にずれてしまうと指先が当たって痛めてしまいます。つま先に余裕があり、横幅はきっちり絞まっている方が結果的に楽です。サイズの合わない靴を履いていると山行が苦痛なのはもちろん、靴擦れや爪を剥がしたりと散々な目に遭います。確実にもう二度と行きたくないと思うでしょう。
自分の足のサイズを勘違いしている人は意外に多いので、一度シューフィッターに見てもらうといいかもしれません。正確に足のサイズを測ってみると、思っていたよりふた回りも小さかったなんてこともあります。(自分がそうでした。)
登山靴の種類
昔は大雑把に軽登山靴と重登山靴のふたつに分類できましたが、今は細分化して一概には切り分け難くなっています。目的や好みに合わせてチョイスできる利点はありますが、自分が何を重視するかはっきり決まっていないと逆に選び辛いという欠点にもなります。
アプローチシューズ
登山口までの長い林道などのアプローチに使います。一応ソールはオフロードっぽいごついパターンのビブラムなどを使用してたりもますが、はっきり言ってただのローカットスニーカーです。
車やタクシーを利用して登山口まで行く場合には、必要と感じる場面は殆どありません。ファミキャンなどにはいいかもしれません。山小屋周囲の散策などでは便利かもしれませんが、嵩張るし荷物を増やしてまでわざわざ持って行こうと考える人などいないでしょう。
2万円前後と結構値も張りますので、まあ手を出す必要は感じません。普段履き兼用で値が張ってもオフロードっぽいスニーカーが欲しい人だったらいいかもしれませんが。安いスニーカーと違って造りはしっかりしています。
プラットホームの靴はどこから来たのか?
トレッキングシューズ ライトウエイト(軽登山靴)
これスニーカーじゃね?と思うようなぺなぺなな物から、結構しっかりした造りの物までピンキリです。ソールは柔らかめで、手で曲げることができます。
アッパーは布製ベースに一部を革で補強している形のものが殆どで、防水のためにゴアテックスなどの防水透湿フィルムがライニングされています。但し、値段の関係でアッパーにしかライニングされてなかったりするので、靴がくたびれてくるとソールとアッパーの継ぎ目から浸水するようになったりします。耐久性には期待しない方がいいでしょう。ソールの張り替えはできません。
ハイキングシューズと呼ばれることもあります。使えるシーンは夏場と秋の低山だけと思っていた方が無難です。
阿曽原や白馬鑓温泉の小屋泊り程度ならこのクラスでも用が足ります。ただ、ソールが柔らかいので長距離では足の裏が痛くなるかもしれません。値段は1万5千円〜4万円くらいまでと、お値頃感があります。防水のない登山靴風スニーカーとも形が似ているので間違えないよう注意して下さい。
トレッキングシューズ ミッドウエイト(軽登山靴)
ライトウエイトよりソールが硬く、手でなんとか少し曲る程度という強度を持っています。ソールが硬めのおかげで長距離や重めの荷物を持っても足が疲れ難いという利点があります。1日10時間とか歩くようになってくると最低でもこの程度のしっかりしたソールが欲しくなります。
アッパーには布を使っている物もありますが、総皮革の製品も多くなります。アッパーの硬さもそこそこあるので、10本爪のストラップアイゼンを付けることも可能です。
値段は3万円〜5万円くらいと若干高くなりますので、防水にはゴアテックスブーティのようなフルカバーの防水透湿フィルムが奢られています。残雪期〜初冬まで、テント泊や縦走もこなせますので、志が高ければこのクラスを買うことをお勧めします。
マウンテンブーツ 3シーズン
このクラスになると手で曲げるのが困難なほどソールが硬くなります。かかと部分にコパが付き、12本爪のセミワンタッチアイゼンを付けることも可能です。残雪期から低山の雪山歩きまでと幅広いシーズンに対応します。氷の張った急傾斜を歩く場合はストラップアイゼンでは若干不安定ですので、最低でもしっかり固定できるセミワンタッチアイゼンが付けられるこのクラスが必要になります。
アッパーには新素材を使って総皮革の製品より軽量な物も増えてきました。足首部分も固めになっており、登山靴らしいしっかりした安心感があります。
値段は4万円から6万円くらい。
マウンテンブーツ 4シーズン
ソールはかなり硬く、ちょっとやそっとじゃ曲りません。前後にコパを持ち、12本爪以上のワンタッチアイゼンが付けられます。(つま先にコパのない物もあります。)
このクラスにも新素材アッパーが登場しており、片足1Kgを切る製品まで出てきました。保温性にも配慮されている製品では厳冬期2000m以上にも対応できます。足首部分もかなり固くなるので、平地ではロボット歩きになってしまいます。
値段は4万円から6万円前後。
ウインターブーツ
厳冬期3000m以上やアイスクライミングに対応するブーツです。また、ヒマラヤ8000m峰対応のブーツもあります。
一時期スキー靴のようなプラスチックブーツが主流でしたが、ケブラーや特殊ナイロンなどの新素材を使った軽量ブーツも出てきて、重いプラスチックブーツは敬遠される傾向になってきています。もちろん、総皮革の製品もあります。
ソールも平たいし足首も曲らないしで、平地ではかなり歩き難い代物です。保温材が入っているので保温性が高く低温下でも凍傷になり難い靴ですが、冬季以外は使えません。
値段は4万円から10万円越えまで。
靴ひもの結び方
崖の際を通っている時や鎖場の通過時にいきなり靴ひもが緩んだりほどけたりしたら、そりゃあもうむっちゃ怖い思いをします。そんな思いをしないで済むように、緩み難い結び方を工夫する必要があります。
足首部分のフックに靴ひもを引っかける時、通常は下から上に通してしまいますが、これを逆に上から下に向かって通すと紐が緩み難くなります。
靴ひもを縛る時は蝶結びにすると思いますが、蝶結びのわっかを一回巻いた中に通すところを二回巻いて通すとほどけ難くなります。
あるいは、蝶結びでできた左右のわっか部分を、さらに玉結びしてしまいます。簡単なので自分はこの方法を使っています。まずほどける心配はなくなります。
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